短編小説

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通学路

4月。 今日から新学期、というか中学生としての生活が始まる。 小学校のときとは違い、今日からは学ランを着て学校に通う。 背中にはランドセルじゃなく、手で持つタイプのカバンだ。
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アンラッキー7

やらないで後悔するよりもやった方がいい。 宝くじを買わなければ当たらない。 明けない朝はない。 どれも行動を起こせという言葉だ。 だが、中にはなにをやっても上手くいかないという人間が存在する。
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ぐちゃぐちゃの手料理

料理というのは不思議なものである。 「いっちゃんの誕生日は、私が手料理を振舞ってあげるね」 彩香の言葉に、樹は顔をしかめた。 小さい頃からずっと彩香のことを見てきた樹は嫌な予感しかしない。
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女心と秋の空

ある日の放課後。 真人は化学準備室の掃除を終えて、カバンを取りに教室に戻ろうとしていた。 「わかる。やっぱり、大事なのは内面だよね」 真人はその声が桃城美那子のものだと、一瞬でわかった。
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あの子と仲良くなろう

夜の11時過ぎ。 人通りの少ない路地裏で、和真《かずま》は正座していた。 ……いや、させられていた。 その和真の横では、親友の怜雄《れお》が地面を舐めるように倒れ、気絶している。
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お気に入りのぬいぐるみ

優美香の家は両親が共働きで、いつも家の中では一人だった。 物心ついたときには、その状態だったので特別寂しいとは思わなかった。 その理由の一つとして、優美香は5歳の誕生日にクマのキャラクターのぬいぐるみをプレゼントされたことがある。 当時は抱きしめられるくらいの大きさのぬいぐるみは優美香の心の隙間を埋めた。
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いきなりラストバトル

その日、俺は世界の命運を、その手に握らされる羽目になった。 唐突に。強引に――。 俺の名前は二宮《にのみや》蓮《れん》。 ごく普通の、友達が少ない高校生だ。 ここで注意してもらいたいのだが、友達を作らないのではない。
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いいわけ

「蒼馬《そうま》、同窓会があるんだけど、今回は出るでしょ?」 電話越しにそう言ってきたのは、高校まで仲が良かった相沢《あいざわ》紬《つむぎ》だ。 家でゴロゴロしてたところに、いきなり着信があったので、つい名前を確認せずに取ってしまったのが間違いだった。
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