短編小説

ドッペルゲンガー

 世の中には3人、自分にそっくりな人間がいる。  どっかで聞いたことがある話だ。  けど、それよりももう一つ、自分にそっくりな人間がいるという都市伝説がある。  ドッペルゲンガー。  なんでも、自分そっくりな分身らしい。
短編小説

お見合い

 夢と恋。  それを天秤にかけたとして、どっちに傾くだろうか。  まさしく、それは人それぞれだろう。  夢を取るという人もいるだろうし、恋を取るという人だっているはずだ。
短編小説

凍てつくほど愛してる

 何度、裏切られてきたことだろう。  どんなに愛しても、この想いは決して届くことはない。  思いを伝えると、みんな逃げて行ってしまう。  あれほど、愛を誓い合っていたのに。
短編小説

レッドカード

 人には譲れないものがある。  一発、レッドカードというものが存在する。  私はそれを見分けるのが上手いと自負している。  それは生き残るため。
短編小説

不治の病にご用心

 私は今まで風邪なんて引いたことがなかった。  冬に川に落ちても、風呂上りに下着のままの状態で寝落ちしても、夜通しで遊んで徹夜しても。  熱なんて出たことはなかった。   だから、中学生になった今でも、病院なんて怪我以外で行ったことはない。  それが私の唯一の自慢なのだ。  なのに。  それなのに。
短編小説

プレゼント

「愛の重さはね、プレゼントの額で決まるんだよ」  高校のときに付き合ったときの、彼女の言葉だ。  ……いや、果たして付き合ったと言っていいのか微妙なところだな。  何しろ、彼女の彼氏は俺以外にも3人ほどいた。  もちろん、そのことは知っていたし、他の2人も俺の存在を知っていたと思う。
短編小説

人生の分岐点

 人生には必ず分岐点が存在する。  ……分岐点というより、後悔した瞬間。  ううん。それも違うかな。  あのとき、ああしていたら、どうなっていたんだろうか。  そんなことを想像するような分岐点。
短編小説

ご安全に

 中学1年生のとき、私は大失恋をした。  相手は幼馴染の光一だ。  光一とは幼稚園のときからの付き合いで、親同士の仲がいいということで、しょっちゅうお互いの家を行き来していた。  いつも一緒に遊んでいたし、光一の部屋に泊まりに行ったり、光一が私の部屋に泊まりにきてたりと、ほぼ、家族のような存在だった。
短編小説

凍った扉

 いつからここにいるのかは、もう思い出せない。  気づけば、私はクイーンサイズのベッドの上で、毛布に包まって震えていた。  私がいるのは殺風景でベッド以外のものはなく、窓さえもない陰鬱な部屋だ。  ベッド以外にあるのは、たった一つ。
短編小説

ポッキーゲーム

 それは何気ない、いつもの放課後のことだった。  掃除が終わった誰もいない教室で、二人でダベる。  その日もそうするはずだった。    なのに、だ。  どうして俺は、こんなことをしてるんだ?  あまりの急展開に、俺の頭の中は真っ白になる。
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