短編小説 黒色 セシリアは黒色が好きだった。 なぜなら、すべての色を塗りつぶすことができるからだ。 そのことに気づいたのは3歳の頃。 両親に絵描き用の画用紙を買い与えられたとき、そのすべてを真っ黒に塗り潰した。 2023.07.31 短編小説
短編小説 いつもの台詞 私が好きになった人は、決まって同じセリフを言う。 「あなたに釣り合う男になってみせる」 そう言って、危険な冒険へと旅立ち、そして二度と帰って来ない。 時々、魔物によって殺されただの、ダンジョンの罠にハマって死んだなどの情報が入ってくるくらいだ。 なんで男ってやつは気づかないのだろう。 釣り合う男になるよりも、近くにいてくれる方がいいのに。 2023.07.31 短編小説
短編小説 誰も知らない向こう側へ 小学生が2人、どこまで行けるのか。 2人のことを誰も知らない、新天地へと行くことが可能なのか。 普通に考えたら無理だ。 なんの収入もない人間が、新しい地に行って生活なんかできるわけがない。 でも僕はできるんじゃないかと思った。 純玲さんと一緒なら。 2023.07.31 短編小説
短編小説 調子に乗るといいことない 「ごめんなさい。好きな人がいるの」 「拓真くんって、いい人だけど恋愛対象に見れないのよね」 「無理」 今年に入ってから、既に5人以上にフラれた。 なぜだ? どうして、ここまで俺はモテないんだ? 2023.07.31 短編小説
短編小説 予知夢 私が予知夢を見ているって気づいたのは15歳くらいの時だ。 あんまり頻繁に見るものじゃなかったし、デジャブくらいのものだと思い込んでいた。 なんか、この場面、見たことあるなぁ、と思うくらいで全然、気にしてなかったのだ。 気づいたきっかけは家で飼っていたインコが逃げたとき。 籠から出て、逃げていくまでの流れが、昨日見た夢と全く一緒だった。 2023.07.30 短編小説
短編小説 今年の目標 目標こそが人を成長させる。 それが駿介の、人生のモットーだった。 というより、祖父の受け売りだ。 「お前はなにをやってもすぐ投げ出すな」 駿介が5歳の頃、祖父にそう言われた。 なんでも興味を持ち始めて、すぐに冷める年頃。 あれをやりたい、これをやりたいと両親に言っては、すぐに止めていた。 そんな駿介に祖父が言う。 2023.07.30 短編小説
短編小説 写真 よくよく考えてみると、本当に不思議でならない。 ……なんで、あいつのことなんか好きになったんだろう? 誰もいない放課後の教室。 外からは運動部の掛け声、中からはブラスバンドの練習の音が聞こえてくる。 時刻は16時。 スマホの画面には夕日の赤い光が反射する。 2023.07.30 短編小説
チャーリー・バロットと墓場の女王 チャーリー・バロットと墓場の女王㉔ バンと大広間のドアを勢い良く開ける。 僕の視線の先にはクラムがいて、玉座に座っていた。その周りには百体以上のゾンビ兵がいる。 「なんだ、貴様は?」 クラムが僕を見下して、不機嫌そうに鼻を鳴らす。 2023.07.30 チャーリー・バロットと墓場の女王
チャーリー・バロットと墓場の女王 チャーリー・バロットと墓場の女王㉓ 〈チャーリー・バロットと墓場の女王 TOP画面へ〉 〈前のページへ〉 〈次のページへ〉 地下牢へ 僕らはクラムの城の地下牢に入れられた。 馬鹿デカイ牢屋に、ギュウギュウ詰めにされている。 地下牢は両壁に向かい合わせのように作られていた。... 2023.07.30 チャーリー・バロットと墓場の女王